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車の冷房が効かないけど暖房は効く場合はエアコンの故障?原因と対策を解説

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夏のドライブを快適にするため、また近年のブームである車中泊を楽しむ上で、車のエアコンは欠かせない装備です。しかし、いざ使おうとした時に「車の暖房は効くけど冷房が効かない」という困った事態に直面することがあります。この問題には様々な原因が考えられ、放置すると高額な修理代につながる失敗や後悔を招くかもしれません。

ですが、すぐに故障と決めつける前に、ご自身で試せるエアコンが効かない時の応急処置も存在します。特に、停車中にエアコンが効かないと感じる状況や、安全のためにエアコンをつけっぱなしにできるのは何時間くらいなのか、といった具体的な疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

この記事では、そのようなお悩みに対し、考えられる原因から修理代の目安、オートバックスのような身近な店舗での対応、さらにはエアコンが使えない場合の暑さ対策まで、幅広く解説していきます。

記事のポイント

  • 車の冷房だけが効かなくなる具体的な原因
  • 症状や故障箇所に応じた修理代のおおよその目安
  • いざという時に自分でできる応急処置と夏の暑さ対策
  • エアコンの点検や修理を依頼できる業者の特徴

車の暖房は効くけど冷房が効かない場合の原因と修理について

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  • 考えられる主な原因はガスや故障
  • 停車中にエアコンが効かない理由
  • エアコンが効かない時の応急処置
  • 原因別の修理代の目安はいくら?
  • オートバックスでの修理や点検

考えられる主な原因はガスや故障

考えられる主な原因はガスや故障

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車のエアコンで冷房だけが効かず、暖房は正常に作動する場合、その原因は冷房特有のシステムに隠されていると考えられます。車の暖房と冷房は、全く異なる仕組みで車内の温度を調整しているため、片方だけが故障することは珍しくありません。

暖房機能は、主にエンジンを冷却する際に発生する熱(冷却水の熱)を再利用して温風を作り出します。一方で冷房は、家庭用エアコンと同じように「エアコンガス(冷媒)」を使い、それが気化する際の気化熱を利用して冷たい風を生み出します。この冷房システムを構成する部品のいずれかに問題が生じると、冷風が出なくなってしまうのです。

ここでは、冷房が効かなくなる代表的な原因をいくつか紹介します。

エアコンガスの不足・漏れ

最も一般的で、最初に疑われる原因がエアコンガスの不足です。エアコンガスは密閉された回路を循環していますが、車の走行による振動などで、接続部分のゴム部品(Oリング)が劣化し、そこからごくわずかずつガスが漏れ出てしまうことがあります。ガスが規定量より少なくなると、空気を十分に冷やすことができなくなり、ぬるい風しか出てこなくなります。

コンプレッサーの不具合

コンプレッサーは、エアコンガスを圧縮して液体に変える、冷房システムの心臓部とも言える部品です。A/Cスイッチを入れるとエアコンが作動しますが、スイッチを入れても車内が冷えない場合、コンプレッサー自体や、それを動かすための電気系統が故障している可能性があります。コンプレッサーが動かなければ、ガスを循環させることができないため、冷房は一切効きません。

その他の部品の故障

他にも、液体になったガスを気化させる「エバポレーター」の目詰まりや故障、システム内の不純物を取り除く「レシーバー」の詰まり、各部品をつなぐ配管の損傷なども原因となり得ます。また、過電流を防ぐ「ヒューズ」が切れていたり、電気の切り替えを行う「リレー」が故障していたりといった、電気系統のトラブルも考えられます。

停車中にエアコンが効かない理由

停車中にエアコンが効かない理由

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「走行中は冷えるのに、信号待ちや渋滞で停車すると途端にぬるい風しか出なくなる」という症状も、よくあるトラブルの一つです。これは、冷房システムの「コンデンサー」という部品の冷却効率が低下することが主な原因です。

コンデンサーは、コンプレッサーで圧縮されて高温になったエアコンガスを、外気を利用して冷やし、液体に戻す役割を担っています。ラジエーターの前に設置されていることが多く、走行中は前方からの風が当たることで効率良くガスを冷却できます。

しかし、車が停車すると走行風が当たらなくなり、冷却は電動ファンのみに頼ることになります。特に夏の炎天下では外気温自体が高いため、ファンの力だけでは十分にコンデンサーを冷やしきれず、ガスの液化が不十分になります。その結果、エアコンの効きが極端に悪化してしまうのです。

これは必ずしも故障とは限らず、車の構造上の特性である場合も多いです。しかし、電動ファン自体が故障していたり、コンデンサーのフィンにゴミや虫が詰まっていて放熱を妨げていたりすると、症状はさらに悪化します。もし停車中の効きの悪さが以前よりひどくなったと感じる場合は、ファンやコンデンサーの状態を一度点検してもらうと良いでしょう。

エアコンが効かない時の応急処置

エアコンが効かない時の応急処置

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走行中に突然エアコンの冷気が途絶えると、特に夏の暑い日には焦りを感じるものです。しかし、すぐに「故障だ」と断定して修理工場へ駆け込む前に、ご自身で試せるいくつかの段階的な応急処置があります。

これらの確認を行うことで、単純な操作ミスによる不要な出費を防いだり、本格的な修理が必要な場合でも、まずは安全を確保して落ち着いて対処したりすることが可能になります。

ステップ1:最優先すべきは安全確保と熱中症対策

何よりも先に、運転者と同乗者の安全を確保することが大切です。JAF(日本自動車連盟)の調査によれば、気温35℃の炎天下では、エアコンを停止してからわずか15分で車内の熱中症指数は「危険」レベルに達するとされています。これは命に関わる非常に危険な状態です。

一般道を走行中であれば、まずは直射日光を避けられる日陰や、商業施設の立体駐車場などを探すのが理想的です。高速道路を走行中の場合は、決して本線上に停車せず、最寄りのサービスエリアやパーキングエリアまで進んでから対処してください。

車を安全な場所に止めたら、すぐに全ての窓を全開にして、車内にこもった熱気を外へ逃がします。そして、近くのコンビニエンスストアやドラッグストアで、経口補水液やスポーツドリンクといった水分、そして体を冷やすための氷や保冷剤、冷却シートなどを購入します。

購入した保冷剤やタオルで包んだ氷は、首筋や脇の下、足の付け根など、太い動脈が通っている部分を冷やすと、効率的に体温の上昇を抑えることができます。

ステップ2:エアコンの基本設定を再確認する

安全が確保できたら、次にエアコンの基本的な設定を見直します。意外にも、意図せずスイッチに触れてしまったなどの単純な操作ミスが原因であるケースも少なくありません。

まず確認したいのは、「A/C」スイッチです。

これは「Air Conditioner」の略で、このスイッチをオンにして初めて、冷媒ガスを循環させる心臓部である「コンプレッサー」が作動します。もしオフになっていると、ただの送風機能しか働かず、当然ながら冷たい風は出てきません。エアコンパネルを確認し、スイッチのランプが点灯しているかをご確認ください。

続いて、空気の循環モードを見直しましょう。冷房効率を高めるためには、車内の冷えた空気を再利用する「内気循環」が基本となります。外の熱い空気を取り込み続ける「外気導入」モードでは、いつまで経っても車内は冷えにくくなります。

ただし、長時間「内気循環」を続けると車内の二酸化炭素濃度が上昇し、眠気を引き起こす可能性があるため注意が必要です。安全のため、30分に一度は外気導入に切り替えるか、窓を少し開けて換気することも心がけてください。

最後に、温度設定を最も低く(Loなど)、そして風量を最大にしてエアコンが本格的に作動するか試してみます。

これは、エアコンシステムに最大の負荷をかけることで、冷媒システムやファンが正常に機能しているか否かを明確に判断するためのテストです。この設定でもぬるい風しか出てこない場合、単純な設定ミスではなく、より専門的な原因が潜んでいる可能性が高いと判断できます。

ステップ3:自分でできるエアコンフィルターの点検

前述の通り、設定に問題がない場合、次に考えられるのはエアコンフィルターの目詰まりです。

フィルターは外から取り込む空気のホコリや花粉、排気ガスなどをキャッチする役割を担っており、これがひどく汚れて目詰まりを起こすと、風の通り道が塞がれてしまいます。結果として、送風量が極端に弱くなり、「エアコンが効かない」と感じる原因となります。

多くの車種では、エアコンフィルターは助手席のグローブボックスの裏側に設置されています。簡単な手順で確認できる場合が多いため、一度点検してみる価値はあります。グローブボックスの側面にあるツメを外すか、下部のダンパーを外すと、ボックス自体を取り外すことができ、その奥にフィルターケースが見えるはずです。

フィルターを引き出し、落ち葉やホコリで真っ黒になっているようであれば、それが不調の原因かもしれません。軽く叩いて大きなゴミを落としたり、掃除機でホコリを吸い取ったりするだけでも、一時的に風量が改善することがあります。汚れがひどい場合は、新しいフィルターに交換するのが最善の策です。

これらの応急処置を試しても症状が改善しない、あるいは一時的に良くなってもすぐに再発するような場合は、ガス漏れや部品の故障といった根本的な問題が考えられます。

ここで紹介した方法はあくまで緊急時の対処法です。放置すると症状が悪化し、かえって修理費用が高くつく可能性もあるため、できるだけ早くディーラーや整備工場といった専門家へ点検を依頼することをお勧めします。

原因別の修理代の目安はいくら?

原因別の修理代の目安はいくら?

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車のエアコン修理にかかる費用は、故障の原因によって数千円で済む場合から10万円を超える高額なケースまで、非常に幅が広いのが実情です。修理を依頼する前に、おおよその相場を把握しておくことで、予期せぬ出費に慌てることがなくなります。

修理費用は、主に「部品代」と「作業工賃」で構成されます。特にコンプレッサーのような主要部品は高価であり、交換作業も複雑になるため、費用が高くなる傾向にあります。

以下に、主な原因ごとの修理代の目安を表にまとめました。ただし、これはあくまで一般的な相場であり、車種や依頼する業者によって金額は変動するため、参考としてご覧ください。

故障箇所・原因

主な修理内容

費用相場の目安

エアコンガス不足

ガスの補充

3,000円 ~ 8,000円

エアコンガス漏れ

漏れ箇所の特定、部品交換、ガス補充

20,000円 ~ 50,000円

コンプレッサー故障

本体交換(リビルト品や中古品を使用)

50,000円 ~ 100,000円

ブロアファンモーター故障

本体交換

20,000円 ~ 40,000円

エアコンフィルター詰まり

フィルター交換

3,000円 ~ 5,000円(部品代+工賃)

サーモスタット故障

本体交換

10,000円 ~ 20,000円

電気系統(リレー・ヒューズ)

部品交換

5,000円 ~ 20,000円

このように、単純なガスの補充やフィルター交換であれば比較的安価に済みますが、ガス漏れの修理やコンプレッサーの交換となると、費用は一気に跳ね上がります。正確な金額を知るためには、必ず事前に業者へ見積もりを依頼することが大切です。

オートバックスでの修理や点検

オートバックスでの修理や点検

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エアコンの不調を感じた際、ディーラーや専門の整備工場に加えて、オートバックスのようなカー用品店も有力な相談先となります。全国に店舗があり、気軽に立ち寄れる手軽さが大きな魅力です。

オートバックスでは、エアコンに関する様々なピットサービスメニューが用意されています。代表的なものとして、「エアコンガスの補充」や、システム内をきれいに洗浄する「エアコンガスクリーニング」、そして「エアコンフィルターの交換」などがあります。これらの作業は料金体系が明確に設定されていることが多く、ウェブサイトや店頭で事前に費用を確認しやすいのがメリットです。

例えば、エアコンガスの補充であれば数千円から、フィルター交換も工賃込みで数千円程度で対応してくれる場合がほとんどです。また、専門的な診断機を使ってトラブルの原因を探る点検サービスを提供している店舗もあります。

ただし、注意点もあります。オートバックスでは対応できる修理の範囲が限られる場合があり、コンプレッサーの交換といった重度の故障や、電気系統の複雑なトラブルについては、ディーラーや専門工場でなければ対応できないケースも考えられます。

したがって、まずはオートバックスで簡単な点検やガス量のチェックを依頼し、もしそこで原因が特定できない、あるいは対応が難しいと判断された場合には、ディーラーや他の整備工場に相談するという流れが効率的かもしれません。

車の暖房は効くけど冷房が効かない時の暑さ対策

車の暖房は効くけど冷房が効かない時の暑さ対策

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  • エアコンつけっぱなしは何時間まで?
  • サンシェードや車載扇風機の活用
  • 日陰への駐車と効果的な換気方法
  • ポータブルクーラーと電源の活用法

エアコンつけっぱなしは何時間まで?

エアコンつけっぱなしは何時間まで?

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夏場の仮眠や車中泊などで、エンジンをかけたままエアコンをつけっぱなしにすることを考える方もいるかもしれません。しかし、これにはいくつかのリスクが伴うため、基本的には推奨されません。

最も注意すべきリスクは「バッテリー上がり」です。車のエンジンが動いている間は、オルタネーター(発電機)が発電してバッテリーを充電していますが、アイドリング状態ではエンジンの回転数が低いため、発電量も少なくなります。

エアコンは消費電力が大きい装備のため、発電量が消費量に追いつかず、徐々にバッテリーの電力を消耗し、数時間後にはバッテリーが上がってエンジンを再始動できなくなる可能性があります。特にバッテリーが劣化している車では、そのリスクはさらに高まります。

また、燃費の悪化も無視できません。車種にもよりますが、エアコンをつけたままのアイドリングでは、1時間あたり約0.8リットルものガソリンを消費すると言われています。一晩つけっぱなしにすると、かなりの燃料を無駄にしてしまいます。

さらに、最も危険なのが「一酸化炭素中毒」です。マフラーが雪で埋もれたり、風のない場所で排気ガスが車体の周りに滞留したりすると、車内に排気ガスが侵入し、命に関わる事態を招く恐れがあります。

以上の理由から、安全のためにも長時間のアイドリングでのエアコン使用は避けるべきです。

サンシェードや車載扇風機の活用

サンシェードや車載扇風機の活用

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エアコンの効きが悪い時や、少しでも燃費を節約したい時には、カー用品をうまく活用することで車内の快適性を向上させることができます。手軽に始められる対策として、サンシェードと車載扇風機が非常に有効です。

サンシェードは、駐車中にフロントガラスに設置することで、直射日光がダッシュボードやハンドルに当たるのを防ぎます。

JAF(日本自動車連盟)のテストによると、炎天下で対策なしの車のダッシュボードが79℃まで上昇したのに対し、サンシェードを使用した車は52℃に抑えられたという結果も出ています。車内全体の温度上昇を抑制することで、乗り込む際の不快感を軽減し、エアコンが効き始めるまでの時間を短縮する効果が期待できます。

一方、車載扇風機は、走行中や停車中に車内の空気を循環させるのに役立ちます。

シガーソケットやUSBポートから電源を取るタイプが主流で、エアコンの冷たい風を効率よく後部座席まで届けたり、窓から入る風を体に直接当てて体感温度を下げたりすることができます。たとえエアコンからぬるい風しか出ていなくても、風が当たることで汗が蒸発し、涼しく感じられます。

これらを組み合わせることで、エアコンの負担を減らしつつ、暑い夏を乗り切る助けとなります。

日陰への駐車と効果的な換気方法

日陰への駐車と効果的な換気方法

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特別な道具を使わなくても、少しの工夫で車内温度の上昇を抑え、快適に過ごす方法があります。それは「駐車場所の選定」と「効果的な換気」です。

まず、駐車する際には、できるだけ直射日光の当たらない日陰を選ぶことが基本中の基本です。建物の影や木陰、可能であれば屋根のある立体駐車場などを利用するだけで、車内温度は大きく変わります。ボディカラーによっても熱の吸収率は異なり、特に黒や濃色の車は温度が上がりやすいため、駐車場所には一層の配慮が大切です。

次に、車に乗り込む際にこもった熱気を素早く排出する換気方法も覚えておくと便利です。

一つの効果的な方法として、助手席の窓だけを全開にし、運転席のドアを5~6回ほどリズミカルに開閉する方法があります。これにより、車内の熱い空気が強制的に外に押し出され、効率的に車内を換気できます。

また、走行中の換気としては、対角線上にある2つの窓を少しだけ開ける方法がおすすめです。例えば、運転席の窓を10cmほど、左後ろの後部座席の窓を5cmほど開けると、車内に空気の流れが生まれ、効率よく換気が行えます。これらの地道な工夫が、エアコンの効きを助け、快適なドライブにつながります。

ポータブルクーラーと電源の活用法

ポータブルクーラーと電源の活用法

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車のエアコンが使えない、あるいはエンジンを停止した状態で快適に過ごしたいというニーズに応える究極の解決策として、近年「ポータブルクーラー」が大きな注目を集めています。

これは、車のバッテリーやエンジンに一切依存せず、独立した電源で稼働する持ち運び可能な冷房装置です。アイドリングに伴うバッテリー上がりや一酸化炭素中毒といった全てのリスクを完全に排除できるため、特に夏の車中泊における安全と快適性を両立させる切り札と言えます。

しかし、その性能を最大限に引き出すためには、「適切な製品選び」「電源の確保」「排熱処理」という3つの重要なポイントを正しく理解し、適切に活用する知識が不可欠です。ここでは、ポータブルクーラーを賢く使いこなすための具体的な方法を掘り下げて解説します。

ポータブルクーラーの種類と選び方の基本

まず理解しておきたいのは、ポータブルクーラーには大きく分けて2つのタイプがあるという点です。

一つは、家庭用エアコンと同じ原理で強力な冷風を生み出す「コンプレッサー式」です。

冷媒を使って熱交換を行うことで周囲の温度を本格的に下げる冷却能力を持ち、近年の車中泊ブームを牽引しているのは主にこのタイプになります。気温や湿度に左右されずに安定した性能を発揮しますが、構造が複雑なため価格は高価で、消費電力も大きい傾向にあります。

もう一方は、水の気化熱を利用する「気化式(冷風扇)」です。

風の温度をわずかに下げる仕組みで、構造がシンプルで安価、そして消費電力が非常に低いのが魅力と言えます。

しかし、冷却能力は限定的で、水を気化させるために室内の湿度が上がってしまうという大きな欠点も抱えています。そのため、特に湿度の高い日本の夏では、かえって不快に感じてしまう場面も少なくありません。

したがって、真夏の車内で涼しく過ごすことを目的とするならば、周囲の環境に影響されにくく、確かな冷却能力を持つ「コンプレッサー式」を選ぶのが現実的な選択となります。

アイリスオーヤマのポータブルクーラーで車中泊を快適に!真夏の暑さも怖くない」では、おすすめのポータブルクーラーのモデルや選び方について詳しく解説しているので、そちらも参考にしてみてください。

成功の鍵を握るポータブル電源の選定

コンプレッサー式のポータブルクーラーは、その強力な冷却能力と引き換えに、大きな電力を必要とします。このため、稼働させるには大容量の「ポータブル電源」が欠かせません。

電源を選ぶ際には、まず「容量(Wh)」、つまりどれだけの電気を蓄えられるかに注目します。これは、クーラーをどれだけ長く使えるかを決める重要な数値です。

例えば、消費電力350Wのクーラーを1000Whの電源で動かすと、単純計算では約2.8時間となりますが、多くのクーラーには省エネモードや設定温度でコンプレッサーが停止する機能があるため、実際の稼働時間はこれより長くなります。

一晩(6~8時間)の連続使用を考えるなら、1000Wh以上の容量を持つモデルを選ぶことが一つの目安となるでしょう。

そして、容量(Wh)と合わせて必ず確認すべきなのが、「定格出力(W)」です。これは、その電源が安定してどれだけの電力を供給できるかを示す数値で、クーラーをそもそも動かせるかどうかを左右します。

特にクーラーは、起動する瞬間に最も大きな電力(起動電力)を必要とするため、ポータブル電源の定格出力がクーラーの消費電力を上回っていることはもちろん、この起動電力にも対応できる余裕のあるモデルを選ぶことが重要です。

最近では、走行中に車のシガーソケットからポータブル電源を充電したり、ソーラーパネルを併用して日中に発電したりすることで、連泊にも対応できる運用が可能になっています。

車中泊でポータブル電源はいらない?後悔しない選び方と代替案を解説」では、失敗しないポータブル電源の選び方について詳しく解説しているので、そちらも参考にしてみてください。

冷却効率を左右する「排熱処理」の具体的手法

ポータブルクーラーは、魔法のように冷気だけを生み出すわけではありません。車内の熱を吸い込み、その熱を本体背面のダクトから「熱風」として排出することで、結果的に空間を冷やしています。

この「排熱」をいかにうまく車外へ逃がすかが、冷却効率を最大化する上で最も重要な工夫となります。もし排熱処理を怠り、熱風を車内に放出したままにすると、一方では冷たい風を出しながら、もう一方では熱い風を出すという矛盾した状態になり、いつまで経っても車内は涼しくなりません。

具体的な排熱方法として、最も効率的でスマートなのは、クーラーメーカーやカー用品店から販売されている車種専用の窓パネルを利用する方法です。各車種の窓枠にぴったりはまるように設計されているため、隙間なくダクトを固定でき、見栄えも良いのが特徴です。

より安価に済ませたい場合は、プラスチック段ボール(プラダン)やアクリル板を窓の形にカットし、ダクト用の穴を開けてパネルを自作することも可能です。これはコストを抑えられる一方で、車体との隙間をいかにうまく埋めるかという工夫が求められます。

そして、最も手軽な方法としては、窓を少しだけ開けてダクトを出し、その周りの隙間を銀マットやタオル、ウレタンフォームなどで塞ぐやり方があります。特別な工作は不要ですが、どうしても密閉性が低くなるため、他の方法に比べて冷却効率はやや劣る点を理解しておく必要があります。

また、ポータブルクーラーの中には排気ダクトの設置が不要なモデルも存在します。「ポータブルクーラーの排気ダクトなしのモデルはある?失敗しない選び方」では、おすすめモデルの選び方について詳しく解説しているので、そちらも参考にしてみてください。

メリットと導入前に知っておくべき注意点

ポータブルクーラーの導入には、多くのメリットがあります。前述の通り、アイドリングが不要なため安全かつ静かで、環境にも優しい点が挙げられます。また、車内に限らず、キャンプサイトや災害時の避難場所など、様々なシーンで活用できる汎用性の高さも魅力です。

一方で、導入前にはいくつかの注意点も理解しておく必要があります。まず、本体と大容量ポータブル電源を合わせると、費用は10万円から20万円以上になることが多く、決して安い買い物ではありません。

また、両方を合わせると重量もかなりのものになり、持ち運びや車内での設置スペースの確保も課題となります。さらに、コンプレッサー式の場合は、稼働中に発生する「ドレン水(結露水)」を定期的に捨てる手間も発生します。

これらの点を総合的に考慮すると、ポータブルクーラーは「夏の車内での安全と快適」という価値に対する大きな投資と言えます。自身の使用頻度やスタイル、予算に合わせて最適な製品を選び、正しい活用法を実践すれば、これまでの夏のドライブや車中泊の概念を覆すほどの快適な体験がもたらされるでしょう。

車の暖房は効くけど冷房が効かない時の確認点

この記事では、車の冷房だけが効かないという問題について、その原因から対策までを多角的に解説しました。最後に、重要なポイントをまとめます。

  • 冷房と暖房は全く異なる仕組みで動いている
  • 冷房が効かない主な原因はエアコンガス不足やコンプレッサーの故障
  • 暖房はエンジンの排熱を利用するためガスやコンプレッサーとは無関係
  • 応急処置としてまずA/Cスイッチや内外気循環の設定を確認する
  • 修理代はガス補充の数千円からコンプレッサー交換の10万円超まで幅広い
  • 正確な費用を知るためには専門業者による見積もりが不可欠
  • オートバックスなど身近な店舗でも点検やガス補充、フィルター交換が可能
  • 停車中に効きが悪くなるのはコンデンサーの冷却効率低下が原因
  • 長時間のアイドリングでのエアコン使用はバッテリー上がりや燃費悪化を招く
  • 車中泊でのアイドリングは一酸化炭素中毒の危険があり絶対に避けるべき
  • サンシェードは駐車中の車内温度上昇を大幅に抑制する
  • 車載扇風機や効果的な換気方法も体感温度を下げるのに有効
  • エアコン故障時は保冷剤や冷却グッズで熱中症対策を徹底する
  • ポータブルクーラーと大容量ポータブル電源は究極の暑さ対策となる
  • 不調を感じたら早めに専門家へ相談することが大きなトラブルを防ぐ鍵となる

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